スヌーズレンとの出会い
三重県、市川 知恵子
エコーのスウェーデン視察に参加したのは、そのころ無性にグループホームについての志向性が強まっていたせいです。
何年か前に訪れたデンマークの様子から、ある程度北欧の福祉のありようは予想がついていたのですが、入所施設をすべてなくしたというストックホルムで、障害の重い人達がどう暮らし、その人生をどう謳歌しているのかを実感したかったと言う事が参加の動機でした。
すべての制度が、一人一人という個に対して何を保障するかという価値観、文化の上に成り立っているようで、その国家的土壌の豊かさにムムム・・・・とまたもや、うなってしまった私です。
その中で、特に思いがけない収穫があったので、今回はその事について報告したいと思います。
いくつかのデイセンターを訪問しましたが、その構えていないたたずまいと、小規模さに感心した事、そしてその中での活動が多様であること、いわゆる『作業』にとどまらない豊かさがあること、家庭を少し大きくしたような柔らかな雰囲気があることなどが印象に残りました。
そして、そこに設置されていたスヌーズレンの『白い部屋』に出会ったことが今回の視察の大きな収穫でした。
スヌーズレンとはオランダで生まれた感覚刺激の活動、及びその部屋の事だそうで、重度の障害を持つ人達のために考案されたものです。確か、十数年前かに、清水基金海外研修報告で眼にしたことがあったのですが、その時はあまり魅力を感じなかったことを記憶しています。ところが、今回、実際その『白い部屋』に入り、柔らな光、ウォーターベッド、音楽などがかもし出す静かな刺激に身をまかしてみると、『ああ、今必要なのはこれ!』という思いが溢れてきました。
仕事でさまざまな知的障害の人達との出会いがありますが、指導や訓練で発達を促す事の限界を感じたり、ともすると発達するどころか、挫折したり精神症状を出したりする弊害も見てきました。そのたびに、私自身が痛感したり親しい精神科医に教えられたりした事は、「人にとって大切なのは、心地良いと感じる時間と安心感」ということです。それが、障害を持つ人達の大前提になるということを経験的に実感し始めていました。
そんな思いとスヌーズレンの理念はまさしく、ぴったりと合致したのです。
そんな思いを、来春開設予定の通所施設に盛り込めないかと、帰国するとすぐに園長に報告・提案、その結果スヌーズレンの部屋を設置することに決まりこの春着工の予定です。そして知的障害を持つ人に対して強制ではない、自発的な活動を引き出すための感覚的、身体的刺激というスヌーズレンの考え方は開設予定の通所施設の理念ともつながりそうです。
スヌーズレンが発信する理念は、今後の障害を持つ人達とその周りの人、援助者との関係のありかたを提案しているのではないかと言う気がします。3月に開催されたスヌーズレン協会の第一回セミナーに参加して、ますますスヌーズレンの理念にほれ込んでいるところです。来春にはスヌーズレンの部屋をもった通所施設が開所します。皆さん、宜しければぜひ見に来てくださいね。
クラブEKO広報誌「ブレティーネン」No.16 2000年6月掲載記事
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