スウェーデンの障害者オンブズマン
スウェーデン・オンブズマン局調査官
ジェニー・オラウソンさん講演記録
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障害者オンブズマンについてのQ&A
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講師:スウェーデン障害者オンブズマン局調査員、ジェニー・オラウソン
通訳・解説:クラブEKO、大滝昌之
日時:1999年2月12日(金)
場所:シニアワーク東京
主催:「人権を考えるセミナー」実行委員会
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東京都では、1998年4月より11施設においてモデル事業として「施設サービス評価基準」を作成し、施設内部での点検や外部のオンブズマンによる評価などが既に取り組まれています。99年度の本格実施に向けて多角的な情報を得ようという趣旨で、「人権を考えるセミナー」が開催され、スウェーデンからオンブズマン局調査員のジェニー・オラウソンさんも参加しました。
このページでは、特にスウェーデンのオンブズマン制度や障害者オンブズマンの働きについてのセミナーでの抄録と、その直前に衆議院第二議員会館で行われた勉強会での質問と答えを載せます。
セミナー全般については、「人権を考えるセミナー」のページをご覧ください。
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オンブズマン局調査員、ジェニー・オラウソンさん
スウェーデンの障害者オンブズマンについて
司会:関西学園大学教授 大谷 強 氏
司会
今まで私たちは平気でオンブズマンとか障害者の権利とかいう言葉を使っていましたけども、国際的な基準からみて、私たちが今ここで議論していることは、いったいどのレベルであるのかということを少し明らかにしたいと思います。日本の中でそういう取り組みを始めた、ようやく進めだしたこと自体が非常に重要なことなんですけども、今後の方向を探るためにも、外の国では具体的にどのような形でオンブズマンという言葉が使われているのか、また障害者の権利を守るために、どのようなシステムがあるのかという話を聞いて、現状とそういう到達水準に向かってどう動いていくかというような進め方にしたいと思います。
そこで、スウェーデンの障害者オンブズマンについてジェニ−さんの方からお話を伺いますが、オンブズマン制度そのものが日本とスウェーデンとは違います。スウェーデンでは法律に基づいた公式の制度になっているのに対し、日本では都が認めて各施設が行っており、同じオンブズマンという言葉を使いながら全然意味内容が違うように思います。
又、仕事の中身も違うのではないかと思われます。スウェーデン、デンマーク、ノルウェー等、福祉のスカンジナビアモデルという社会的なサービスのしくみとその上に成り立ったオンブズマンというしくみについて基本的な枠組みについて話しを伺いたいと思います。
ジェニーさんの通訳を大滝さんが行いますが、単なる通訳ではなくスウェーデンのしくみ、制度、理念等を紹介しながら日本語に転換するというような役割をしていただきます。
大滝昌之氏
これからジェニーさんにスウェーデンのオンブズマンについての制度や仕事内容を話してもらいます。
その前にオンブズマンという言葉ですが、まず、これはスウェーデンで1800年代にできた司法オンブズマンから来た言葉で、これがアメリカを通り日本に入ってくる間に、意味が違ってきているということがあります。又、現在日本でオンブズマンを制度として作りたいということについて、例えば、暴力とか行政のお金をチェックするとかいうことについて、オンブズマン制度の導入ということが言われているわけですけれども、日本とスウェーデンでは土壌が違うので、スウェーデンのオンブズマンは何をしているのかという説明を受けるとき、非常に分かりづらい部分がたくさんあるのではないかと思います。
例えば、日本に来た最初の日に、石井さんという衆議院議員の方、それから数名の方とお話ししましたが、そこで出てくる質問(スウェーデンのオンブズマンどうなっているのですか?)ということに対しての答えが、なかなか分かってもらえないのです。「あれ?それは、僕たちの考えているオンブズマンとは違うんじゃないか?」ということがたくさん出てきたので、ジェニーさんが説明をする前に、日本とスウェーデンでは福祉のシステムが違うので、その働きも全然違うということについて説明します。
具体的にどういうことかというと、スウェーデンでは権利を見守るということに対し、日本では人権侵害が起きていることが多いわけで、人権侵害が起きた場合どうするのかということが云われます。スウェーデンの場合、人権侵害についてそれを取り上げて訴えることもしなければ、直接それを暴露するようなこともしない。そうすると、オンブズマンは一体何をやっているのか?というのがわからなくなってくるわけです。
スウェーデンの場合は、まず、責任の所在というのが法律によって明確にされています。社会サービス法という法律によって色々なサービスというものはコミューンが提供することになっていて、その提供の中には、日本に紹介されていないような、例えば、母親が疲れている時に、それを代わってくれるような交代サービスということも含めて、グループホームとかデイセンターとか、そういうことのあらゆるサービスが保障されているわけです。そのサービスが保障されていることが、きちんと守られているかということを監査している部分が多い。
ところが今の日本では、障害を持った方々が受けるサービスが保障されているかという基本的人権があるかというと、それが無い(無いとはっきり言えるかどうかわかりませんが)。それで、人権侵害を守るということが基本的人権の擁護であるというところにいる日本の方達には、それを取り上げる部分としてオンブズマンが云われてるのではないか、ということだと思います。
スウェーデンのオンブズマンの場合は国連で決定されました障害者の参画を平等に関する基準規則という位置づけがあります。(1993年)スウェーデンでは、それが守られるように監査している。見守っている人がスウェーデンのオンブズマン。つまり、スウェーデンでそういった国連の基準規則に書かれているようなことを行う場合において、例えば法律に欠陥があるとすれば、政府に進言したり、或いは法律の足りない部分を補うということが一つの大事な役目です。
もちろん、届け出によって問題が来た場合に、そういうことで色々と相談というのかアドバイスをしていく方法もありますが、日本のように人権が侵害された場合、それを暴いていったり、例えば市民オンブズマンの(今まで大きなニュースになった)ように行政のお金の使い方を暴いたとか、或いは色々なところに行って賃金問題を暴いて、これを法律に照らして戦っていくというような、そういうオンブズマンではない。
スウェーデン社会においての障害者の基本的人権の擁護というものは、LSSとか社会サービス法とか所謂、権利法というものがあり、一応、権利は守られていて、それが守られているように見守るのは監査局の全国レベルとか県レベルで監査をしていることですから、そこでやっているわけです。障害者オンブズマンは、そういう仕事はしていません。そういう所を、一応頭に入れてジェニーさんの話しを聞いていただきたいと思います。
ジェニー・オラウソン氏(大滝昌之氏通訳)
ハンディキャップオンブズマンであるインゲルさんが35年前に障害者福祉ということについて関わり合った頃、当時はまたスウェーデンに入所施設というものがありました。それ以来彼女はストックホルムに移り、施設というものが閉鎖されるように働きかけました。そして、その後、パーソナルアシスタント法という法律を作成するのに非常に寄与されているわけです。この介助サービスとも呼ばれている法律は、非常に画期的な法律だったのですが、この法律により、機能障害を持った人達が日常生活を仕事の場、余暇の場とかという日常生活において普通の人達と同じ生活が出来るようになりました。それからスウェーデンの国家は1999年12月31日、全てての入所施設が閉鎖されるという決議をしました。
私はこれから、いくつかのスウェーデンの法律がどう変わってきたのか、という過程について、それから、機能障害を持った人達に関することがどう変わってきたか、ということについて話していきたいと思います。その中でハンディキャップオンブズマン(障害者オンブズマン)というものの働きを述べるつもりです。
当然、私は、その中で、国連の参画、機能障害者の参画、平等に関する基準規則ということについても、お話しなければなりませんが、私たちの役割というのは、その国連の基準規則というものを押し広めて、それが守られているように見守るのが私たちの役目です。それから、1994年に障害者オンブズマン法が出来ましてオンブズマン局が設置されてきてからのことを述べます。国連の基準規則に書かれていることを遂行していく為には、その国のしくみがどうであるかということが大事になります。その中でスウェーデンの政策というものが(社会福祉政策ですとか障害者福祉政策というものが)それに合っているものであるという伝統がありましたし、オンブズマンというスウェーデンの制度というものが非常に役立ちました。
オンブズマンというのはスウェーデンにある法律の補助的な役割をするわけです。スウェーデンにはオンブズマンというというのは司法オンブズマンの他に平等オンブズマン(男女平等に関すること)、消費オンブズマン、児童オンブズマン(子どもに関すること)、差別オンブズマン(人権に関すること)、障害者オンブズマン、というものがあります。
司法オンブズマン(日本語で議会オンブズマン)は、議会によって選ばれる人ですが、この他の5つのオンブズマンというのは政府によって任命されている国の機関です。オンブズマン同士の間では、この一つの問題が他の部分に重なることもあるものですから、(例えば、子どものことであるのか、平等のこと)そういう重複するような問題は他のオンブズマンと一緒に検討したり、或いはより適切な方にその問題を回したりすることもあります。
なぜ1994年に障害者オンブズマンというものが設けられたかというと、他のオンブズマンの分野でもそうですが、機能障害を持っている人達というのは、色々な差別受けたりすることがあるからです。もう一つの大事な理由の一つは、国連の基準規則というものがスウェーデンで守られているかどうかを監視するためです。
国連の決議が出された時も、専門委員会では、特に子どもで機能障害を持った人達、或いは男女関係のこと、それから精神的な障害を持っている人達の為の状況が1997〜2000年の内に改善されるように強く要望しました。
その為に1994年に障害者オンブズマンが設置された時には、特別に機能障害に対する問題が解決される為にスウェーデンの国家予算の中に1998年度、1999年度予算の中に特別予算案というのが組み入れられました。障害者オンブズマンの役割の第一次的なものは、機能障害を持つ人達の権利、それから利益、関心を見守ることです。目的は、機能障害を持つ人達が社会において完全に参画していること。それと完全に平等であること。それらのことを法律と見合わせてそれが損なわれている場合に障害者オンブズマンが出てくるわけです。
ハンディキャップオンブズマンというのは一つの国の機関で6年の任期を持っています。オンブズマン局としては10人の職員がいて10人のうち5名が法律関係の専門職の人達です。人数が少ないのですが、この人数が少ないために色々な専門職の方々と全国的にわたって連結しながらその働きを担っています。
その他にハンディキャップオンブズマンの周りには評議会、協議委員会というものがあります。特別な役割を持たないし、運営にも関わりません。これは団体の加盟ではなく、個人の資格で参画しています。当然、機能障害を持っている人達の権利を守り差別とか区別が行われていないようにする為には色々な役割があります。
ここで一つオンブズマンの仕事の中の中心的な実際の仕事である届出入れについて説明します。この届け入れが出るというのは、つまり、苦情が出ているということです。苦情の届け入れを受理しますが、昨年は149件あり、半数は改善されました。これは国にとって非常に大事なことで、この苦情を届け出によって、大体法律にもし欠陥があるなら何がどういうことで欠陥があるのかが分かる訳です。それで、その苦情届け入れされると相手の方に説明を求めるとかいうことを殆ど文書で交換することが多いです。もし相手先が満足するような答えを出さない場合、オンブズマンはそれに対し批判することができ、又、解決策を提示できます。もし、苦情が出た場合、オンブズマン側としては、法律に照らし合わせて、法律が間違っているとか、或いはその官庁とか機関とかいった所が間違っているという様な発言はしません。あくまで、機能障害を持っている人達の権利が守られているかどうかということを見守ります。
目的としては国連の基準規則がスウェーデンの法律でその基準規則を守っているかどうかを見るものですから、あくまでもスウェーデンの中で機能障害を持つ人の権利が守られているかどうかを法的に擁護されているかを見守っているだけです。コミュニティー(都市町村)が機能障害を持った人に対するサービスの責任を持っているわけですから、そこはオンブズマンが質問条項を出して、時にはそれについて答えなくてはならない義務を持っています。
それからオンブズマンは、例えば、官庁ですとか機関とか、或いは一般の会社とか団体というものに対して交渉とイニシアチブ(主導権)を持っている。交渉の主導権を持って交渉にあたるようにします。
ここで苦情届け入れということから離れて権利というものを個人個人、インフォームしていくということに移りますが、個人個人はオンブズマンに相談できます。手紙や電話などで、もし何か問題があったときは、法律というものを(こういう法律があるという)情報を教えます。裁判の方法だとか、その苦情をどういう風にもっていくかということを
色々教えてあげるわけです。
昨年度では、そういうようなアドバイスの件数が1,084件ありました。これは前年度に比べて40%の増加ですが、これを見ても、アドバイスに対する要望というニーズが増えているということが分かります。その他に、法律相談という形でインターネットのホームページに300頁に渡って、障害を持つ人達に向けてそういう法律的なサービスが受けられるように、いろいろな情報を発進しています。
オンブズマンの中心的な仕事の中に、現在の法律の欠如というものを見出すという、そういう国連の基準規則に、現在の法律がそれに合っているかどうかを見守るということがあります。
それによって、もし、機能障害を持つ人達の権利とか生活において、現在の法律がもし合っていないことがあったり足りないものがあるとすれば、それを整理していきます。で、その調査によって、いろんな法律ですとか機構機関に欠如があるのかどうかということが分かる訳ですから、調査というものは、私たちにとって非常に大事な仕事とな
ります。例えば、不平等ということや差別されるということが出てくる場合は、その差別されているものの原因を探るということが大事ですが、調査によってそれをいろいろと検討して判断して、どこにその差別の原因があるかという
ことに辿り着かなければ、その差別というのは無くなりません。
そのようにオンブズマンというものは、原因を見つけるだけじゃなく、その原因となるものをなくするための一つの解決策ということを見つける為にも非常に重要です。そして、国連の規則条項にあるように変えていくような解決策を見つけ、差別というものを無くすための解決策を見つけるということにおいて、調査というものが非常に根本的な仕事になります。
国連の基準規則というのは22章からなっているのですが、この国連の基準規則というのは、各国政府に対しての強制力はありません。強制力は無いけれども、非常に道徳的な国の意志というものを問われていますので、これは全世界的にそういう基準規則がひとつの基盤となるようにという意味を持っています。
障害者福祉政策の大きな目標の一つは完全な参画と平等ということですが、この国連の規則は非常にスウェーデンの社会生活にかなり密着しているわけです。それで国連の基準に関してはスウェーデンが主導権をとって非常に力を入れています。
この中に二つの重要なことが書かれていますが、それは、全世界中どこにでも一般的に言われている、所謂、機能障害という言い方ですね。機能の欠如、或いは低下ということ、それからもう一つはハンディキャップという考え方です。つまり機能障害というものは、周りとのなかでハンディキャップというものになるという考え方です。
機能障害というものが、周りとの関係の中でいろいろな差し障りが出てくる、ということがハンディキャップの原因になる訳ですから、いろいろな、例えば、社会生活とか教育とか、そういうもののあらゆる生活をおくるうえで妨げが無くなるということが、国連基準規則の目的の一つです。国連の条項の中でも、特に医療ですとかリハビリテーションとか、或いは介助器具ですとか介護サービスとかというものが、個人のニーズに合わせて行われることによって、個人と周りとの関係によって生まれるハンディキャップを、少なくしたり、或いは無くしていこうというものです。スウェーデンにおいては、このような考え方というものが、伝統的の社会福祉政策の中にありまして、それが、例えば、社会サービス法だとか、LSS法だとか、保健医療法だとか、アシスタント法だとか、というような一連の法律によって社会生活に表れています。
ここで私は、その法律がどのように変わってきたかということをお話したいと思いますが、それで、私が最初に述べました、障害者に対する政策の変化ということについての話ということにしたいと思います。
知的障害者という定義について言うと、定義というものが明記された最初の法律というのが、所謂、権利法というのが、1955年にできました。それが。1967年になりますと、援護法というものになりまして、いろいろなサービスというものを障害者が持つ権利として提供しなければならない、というように規定されるようになりました。で、1984年になりますとそれが新援護法という形になりまして、日常活動やグループホームでの居住が権利として明記されました。この84年に出来た新援護法というものが一つの大きな基盤になり、1994年にLSS、日本語で言いますと機能障害を持つ人に対するサービス援護法という法律が出来、知的障害を持つ人だけじゃなく、自閉症や自閉傾向を持つ人達、或いは交通事故などで成人になってから長期的な脳障害を持つことに至った人達をも含めるというようになりました。
84年の新援護法によって入所施設が解散することになりますが、94年のLSS法では、その日程が決められて、今年の12月31日をもってスウェーデンには入所施設というものが無くなります。
今までのことをまとめてみますと、私たちの社会政策の目標というのは、社会生活を送るということにおいて、障害を持つ人が完全に参画をしていくということ、それが完全に平等ということ、それが個人のニーズに基づくということです。このLSSの対象となる人というのは、先ほども申し上げたように、知的障害を持つ人達、自閉的な傾向がある人、成人期になっていろんな事故や病気などで脳障害をもった人達、65歳以下で老人病でない原因で、日常生活をおくるのに不自由を感じる人達全て、それから、長期的な精神障害を持っている人達、そういうのがこの法律の対象者です。
これは一つの権利法です。権利法ということはつまり、そのサービスがもらえない時は訴えることが出来るという事です。この保障されてるサービスには、いろんなものがありますが、個人的な法律のアドバイスということも含めて、日常活動ですとか住居のこと、それから、交代サービスと言われている、家族が疲れてるから代わりにやってくれるとうようなものも含めて、それから、他の場所で家族の人がちょっと用事があるのでいないから、ちょと一時的に預けるショートステイなど、一連のサービスが保障されています。
その中で大事なことにパーソナルアシスタントというものがありますが、これは1週間で20時間未満のサービスにおいてはコミューンが、また20時間以上の場合は国が社会保険の形でそのパーソナルアシスタントの給料を出します。そのサービスを決めるにあたって、個人プランというものを作り、それで、個人が一人一人がニーズが違うわけですが、そのニーズに合わせてそれらに必要なサービスというものを提供します。
所謂、地域に住む普通の市民には、福祉のサービスは社会サービス法によって提供されています。そのなかにあってLSSというのは、特に重度な障害、或いは、特に難しさを持ってる人達に対してのものですが、社会サービス法というのは、その他の一般の人達に対する社会サービスが保証されるということです。
その社会サービスの中には、医療や介助器具のサービスであるとか、アドバイス的なこととか、それから高齢者には、これはLSSの中にも入ってますけど、ガイドヘルプサービス、つまり外出する時にそのサポートしてくれる人ですとか、或いは介護サービスとか、掃除や洗濯などの家庭サービス、料理したりだとか買い物したりするのをサポートする、ヘルプするというのもあります。
このLSSと社会サービス法共に、個人ニーズに合わせてやるわけですが、そのことによって個人の参画というものが浮き彫りにされてきています。その社会サービス法にも、法のなかで与えられるサービスというものは質の高いものでなくていけないということと、それを行うサービス員というものは、資格を持った人でなければならないということが書かれています。
国連の基準規則の中には、各国政府はニーズを持つ障害のある人達に補助器具、介助器具というものを供給しなければいけないということがあるわけですけれども、スウェーデンにおいては、それが医療法の中に取り入れられていて、ニーズがあると認められた補助器具、介助器具は無料でもらえます。
国連の規則条例の中には、リハビリテーションの提供ということがありますが、リハビリテーションというのは復帰させる、元に戻すという意味ですけど、その中には機能の低下による、或いは欠如による補いというものを行うということもあるわけで、つまり介助器具とかもそういうものにあたります。
スウェーデンでは、このリハビリテーションの他にハビリテーションということも保証されています。ハビリテーションもリハビリテーションも、社会的なもの、教育的なもの、それから職業的なものにわたってリハビリとハビリが提供されます。これは法律の中でも言及されていますが、それらのリハビリ・ハビリに関しては、まず個人のニーズがあって、そういうものと、それに対して周りの社会でやらなくちゃならないことがある。
そして、それらを個人の視野という観点から、周りでどうやったらうまくいくかということの視点に移して考えていく。
これは、機能障害を持った人達が社会生活、仕事の内容とかにおいても他の人達と同じような機会が与えられるという、機会均等を考えるうえで必要なことです。
半分近くの私達へ来る苦情の届け出というものは、所謂、適応化というんですか、例えば、建物に入る時になかなか入りにくいとか、ランプが無いとか、学校に介助器具が揃っていない、そういう生活していく上で適応化がされていないということに対する苦情です。
基準規則の中には教育の平等化というのがありますが、教育においても平等に教育を受ける権利がある。教育における平等ということで、スウェーデンではどんな重い障害をもった人でも学校に入り、一緒に共学できるという権利があります。それが出来るために、例えば、教材とか、環境、学校の中の仕組みとか、施設のなかでのことですね、それが障害を持つ人に適応するようになっていなければなりません。スウェーデンの障害を持つ学童児は、学校の機会を均等に与えられていて、学校は統合化されています。統合というのは普通学校と一緒にあることですね。その他に、視覚障害であるとか聴覚障害であるとか、そういう特別な障害を持った人達はそれらの専門学校に行きます。
国連の規則条項の中には労働における平等、参画ということがありますが、労働については仕事の場合においても平等に行うということがうたわれています。この適応化ですか、障害を持った人が労働する上においての、それがうまく行くようにスムーズにいくような対応ということに対しては、まだ不足なところがありますので、それについてはいろいろ提言しています。
国連の規則条項には、最後になりますが、その13条の中に、そういうことを可能にしていくために、他の障害者の団体と協調していくことであるとか、或いは教育のことであるとか、それについての知識を深めていく、そういうことに対しての知識の向上をしなければいけないということがあります。他の、いろいろな各種の障害者団体との連結ということにおいていえば、スウェーデンは非常に昔から行われていまして、現在44の団体が国からの補助を貰っていろいろな活動をやっています。
最初にこの国連の基準規則というものが、各コミューンでどのように守られているかというような調査があります。1996年にスウェーデンの各コミューン(各市町村)に対して、各市町村がそれぞれ障害者福祉政策というものを持っているか、それから、それを施行していくためのプランを持っているかということについてのアンケートを取りました。それによりますと、半数に満たないコミューンが、それらの政策を持っていたということがわかりました。その半数以下しかいなかったコミューンのなかでは、3分の2のコミューンがこれからそういうふうな社会政策機関とかそういうものをつくるという用意があるということを回答しましたので、私たちはそれが非常に刺激になりまして、コミューンに向けての障害者に関するインフォメーションでもある「障害読本」というものをつくりました。
それから企業に働きかけて、会社の中で障害をもった人達に貢献するような製品を作っている会社とか、障害を持った人達を雇うことについて貢献した会社に対して賞金を与えるという、そういう広報もやりました。
それから、社会保険局におきまして、障害を持った人達の家族に対する保険金とか、他にもあるんですけれども、それを申請して受理されるまでにかかる時間というものが、どのくらいかかるのかというような調査もやりました。
また、仕事をやってゆくなかで、障害を持っているということでどんな差別があったかというような調査をしました。
今まで、私は障害者オンブズマンの仕事について話しましたけれども、スウェーデンではその他に福祉サービスに対する監査、監視をおこなっている機関があります。それは、社会庁ですが、監査庁みたいな性格で、コミューンでの社会サービスというものがちゃんと行われているかということを監査する機関があります。
その他に公共病院などですが、その病院による処置というものが適切であったかということを監査する患者委員会というのが特別な監査機関もあります。
私はハンディキャップオンブズマンというのがどういう役割をもっているのか、どういう地位にあるのか、ということについてお話をしました。法律というのは非常に大切なものです。それから、障害者オンブズマンというものも非常に大事です。一番大事なのは、障害を持つ一人一人が、いろんな場所で平等に参画して行くという目標を、毎日の仕事や生活の中で具体的に行っていくことが大切です。どうもありがとうございました。
オンブズマン制度に関するQ&A
ジェニーさんに聞く
(2月10日、衆議院第二議員会館にて、石毛事務所人権勉強会から)
Q1 ハンデキャップ・オンブズマンって、なに?
ハンデキャップ・オンブスマンとは、政府に任命された機関.。ハンデキャップ・オンブズマンを局長に
10名の法律家で組織されている。
人数は少ないので、いろいろな専門職と連携をとって仕事をしている。
Q2 他のオンブズマン制度は?
政府任命のものは、平等オンブズマン 子供オンブズマン 障害者オンブズマン
消費者オンブズマン 差別オンブズマンがあり、議会任命の司法オンブズマンがある。
Q3 オンブズマン(局)の目的・仕事の内容は?
・障害を持った人が社会的に完全に参画し、平等に生活できているかということを監視している。仕事の内容は国連で決められている障害をもっている人の機会均等化のグローバル・スタンダード(基準規則)がスウェーデンで遵守出来ているかを監視すること。
・個人個人からの届け出による苦情を取り上げること。このことは、どういうことが障害をもった人達とって、どのような支障があるのかというオンブズマンの判断基準になる。
・現行の法律が障害をもっている人に、十分に適応されているかどうかを調査し、判断する。欠陥があれば、政府に申し入れをする。各行政機関(県・市町村など)や団体・企業はオンブズマンからの要請する質問には応えなければならないシステムになっている。行政機関や団体・企業との交渉をオンブズマンの主導権をもって行う。
・障害を持っている人たちへその問題に関する法律などの情報を提供する。その1つとしてインターネットを利用して約300ページにわたる様々な情報を提供している。
・国連の基準規則がまもられているかという調査・監査報告書を作成すること。96年にスウェーデンの全市を対象に、障害者施策を持っているかどうかというアンケートを実施した。その結果、全国の半分の市町村に障害者施策というものがなかった。その半分の市町村の内、3/4の市町村がその後の勧告に従って、障害者施策を作成することになった。そこで、オンブズマン局として、障害者ハンド・ブックを作成し、国連の基準規則をどのように守ったらよいのかという提案を市町村にした。
・裁判所や社会保険局に対して、障害をもった人への接し方を指導している。
オンブズマン局の仕事は、 国連のスタンダード・ルール(基準規則)が基本。
Q4 障害者からの苦情の事例はどのようなものか?
障害をもった子供の両親が学校施設が車椅子対応になっていないという問題を取り上げて改善させた。ある障害をもった人が郵便局が障害者対応になっていないということを具体的例を上げて、関係各所に働きかけて改善させた。
Q5 障害者オンブズマンは法的な裏付けはあるのか?
障害者オンブズマン法(ハンデキャップ・オンブズマン法)で権威づけられている。
内閣が任命する。国の行政機関であるが、形式的なもので独立した国機関である。
(公正取引委員会のようなもの)その独立した機関の局長を内閣が任命する。
オンブズマン制度は1800年代からスウェーデンでは伝統的な制度が確立されている。それとは別に国の機関というものは独立性が高く、このオンブズマン(局長)は、法を遵守している限り6年間は罷免することはできない。(ハンデキャップ・オンブズマン法はスウェーデン大使館で入手可能。SFS1994〜749号という法律)
Q6 基準規則が1993年12月の国連採択に影響されたのか?
基準規則はスウェーデン人(リンド・クリスト氏やベンクト・ニーレ氏など)が国連で条文を起草してきた経緯があり、逆にスウェーデンでは遵守しなければならない。
Q7 インターネットでアクセスしたら、スウェーデン語か?
スウェーデン語しかない。2種類あって、やさしい文章と難しい文章とある。知的障害の人のためであるし、一般の人でも要約してあって分かり易いものかもしれない。基準規則など要約は分かり易い。
Q8 行政機関として勧告などをした後、罰則規定などはあるのか?
罰則はない。ハンデキャップ・オンブスマンが1つ機関に対して命令する権限はない。行政を監査するのは社会庁の仕事であり、ハンデキャップ・オンブズマンの仕事は、官庁を監査するわけではない。一般的総合的に、ハンデキャップをもった人の生活に歪みがあるかないか、法律が障害をもった人たちの生活に適合しているかいないかを見守って、必要があれば進言することである。
Q9 行政が進言しても動かない場合は、社会庁が指導するのか?
どこかの官庁がどのようなミスをしたかを指摘することがオンブズマンの役割ではなく、障害をもった人たちの人権が守れているかどうか、国連基準規則がスウェーデンで遵守されているか、を見守ることである。
Q10 オンブスマン局への苦情は、社会庁へ情報を提供するシステムではないのか?
障害をもった個人に対して、行政に対してどのように苦情を言えばよいのかを情報提供することの援助を行う。
Q11 企業とか民間サービスの場合、人権侵害した場合は?
その場合は、直接裁判所に訴え出る。また、スウェーデンでも社会サービスの民営化は一部されているが、その責任の所在は市町村にある。
Q12 行政が人権侵害した場合は?
行政を監視するのは、社会庁の仕事である。基準規則が遵守されていない場合、改善勧告したり、法律を提言したりすることがすることが、オンブスマン局の仕事である。
具体例をあげれば、、学校の施設が障害をもった人に適したものがない場合、オンブスマンが学校側が説明を求めることが、実際には実質的な効果を果たす場合もある。
また、施設内で暴力があった場合の責任の所在はどこにあるのか? その法律で守られているのか? ということが重要であって、問題があれば、その責任ある者を訴えたたり、社会庁が処分するということである。 国連の基準規則により、暴力を振るってはならないということなどが当然明記されている訳で、そのための法律を整備されていることがどうかを監視することがオンブスマンの役割である。
Q13 スウェーデンの国内法に国連基準規則は規定されているのか?
障害者オンブスマン法に、国連の基準規則を遵守することを条文に唱っている。第4条に定期的に監視することが規定されている
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